刷毛のいろいろ

塗装と言えば、“はけ”で塗るというように昔から“はけ塗り”は庶民に馴染みのものです。いまだすたれず残っているのも、案外メリットがあるからでしょう。例えば、塗るとき他へ塗料が付かないよう行う“養生”が簡単だとか、塗料を残さず使えきれるとか。一方で、熟練した職人さんとなるためには、相応の年月と努力が必要になります。美しく仕上げるためには、“毛先で塗る”とよく言われます。これが、はけ塗りの基本です。例えば、薄く塗るときは、毛先は塗装面に直角に向け、動かすとき毛先が浮かないように注意します。天井など塗るときは、塗装面に毛先を強くあてすぎると塗料が垂れてしまうので“軽くあてる”よう心掛けます。当初は、なかなか思うようにいきませんが、何度も練習していくうちにできるようになるものです。はけの束になった部分を「穂」といい、手で持つところは「柄」と言います。はけの種類としては、おなじみの「平ばけ(ひらばけ)」のほか、穂の巾が平ばけより小さい「寸胴ばけ(ずんどうばけ)」、柄が少し傾いている「すじかいばけ」、そして漆専用の「漆ばけ」など。毛はほとんど動物の毛を使用しています。黒く見えるものは、馬の毛(硬い)が使用され、白く見えるものは、ヤギや羊の柔らかい毛が使われています。最近では合成繊維(ナイロンなど)でできたものも出回ってきており、漂白剤、薬剤などに使用されています。次に、作業に際し、適正な“はけの選び方”を簡単に紹介しておきます。基本的に、塗料の種類、塗り面積などに応じて選定します。一般的に、合成樹脂調合ペイントのように粘度の高い塗料を使用する場合、寸胴ばけが適しています。寸胴ばけは、腰が強く塗料の含みがよいので、広い面の塗装にも適しています。粘度の低い(ウレタンワニスやラッカー等)塗料には、やわらかい毛(白毛)のすじかいばけが適しています。